つい先日、日経デジタルからこんな記事が出ましたね。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA039BX0T01C25A2000000/
残クレって車だけだと思ってたら、不動産もあるんですね💦正直とても怖いです!
残クレ住宅ローンは本当に得なのか?
月々が安い仕組みの裏側、メリット・デメリットを不動産会社が徹底解説。
結論は「おすすめしない」。理由を論理的に説明します。

目次
はじめに|「月々が安い住宅ローン」に違和感を覚えたあなたへ
最近よく目にする
「月々の返済を抑えてマイホームが持てる」
という言葉。
その正体が
**残価設定型住宅ローン(残クレ)**です。

最初に結論を言います。
結論:私は残クレ住宅ローンをおすすめしません。
ただし、
感情論でも、業界批判でもありません。
この記事では
- 残クレ住宅ローンの仕組み
- メリット・デメリットをすべて提示
- そのうえで「なぜおすすめしないのか」
を、不動産会社の立場から冷静に書きます。
残クレ住宅ローンとは何か?【仕組みを3分で理解】
【画像②:通常ローンと残クレの比較図】
残クレ住宅ローンとは、
将来の住宅価値(残価)をあらかじめ差し引いて借りる住宅ローン
のことです。
具体例
- 住宅価格:4,000万円
- 想定残価:1,200万円
- 実質ローン:2,800万円
その結果、
月々の返済額は確かに安くなります。
ここだけ見れば、魅力的です。
なぜ今「残クレ住宅ローン」が広がろうとしているのか

理由は明確です。
・住宅価格の高騰
・建築費の上昇
・金利上昇
・若年層の住宅取得難
・共働き前提の家計構造
「普通に住宅ローンを組むと家が買えない」
という層が増えました。
そこで登場したのが
“買いやすく見せる仕組み”としての残クレです。
残クレ住宅ローンのメリット
ここからはフェアに整理します。
メリット① 月々の返済額が抑えられる
これは事実です。
- 毎月数万円単位で差が出るケースもある
- 子育て世代には魅力的
短期的な家計は楽になります。
メリット② ワンランク上の住宅を選べる
- 立地
- 広さ
- 設備
本来なら予算オーバーの住宅が
選択肢に入ることもあります。
メリット③ 住み替え前提なら理屈は成立する
- 転勤がほぼ確定
- 10〜15年で売却予定
- ライフプランが明確
この条件が揃えば
理論上は成立します。
ここからが重要|残クレ住宅ローンのデメリット
デメリット① 残価は「保証」ではない
最大の落とし穴です。
- 人口減少
- 地域価値の低下
- 災害
- 建物の劣化
想定価格で売れなければ
差額は自己負担です。
住宅は
将来価値を正確に読めません。
デメリット② 借金を未来に先送りしているだけ
月々が安い=総額が安い
ではありません。
- 最終的に大きな残債
- 金利負担は残る
これは
負担の先送りです。
デメリット③ 通常住宅ローンより金利が高い
まぁ、当たり前ですよね。
金融機関がリスクを負っている分、金利は通常より高くなります。
結果、
総額借入額が減っても、高金利がもったいない。
デメリット④ 人生の変化に極端に弱い
- 離婚
- 収入減
- 親の介護
- 転職
残クレは
「売る前提」「住み替え前提」
どちらにも縛られます。
デメリット⑤ 家が“安心の場所”でなくなる
これは見落とされがちです。
- 常に出口を考える生活
- 売却価格への不安
- 心理的ストレス
家が
負債に感じ始める瞬間です。
ここまで読んでいるあなたへ
ここまで読んでいる方は、
おそらく 「なんとなく不安」 を感じているはずです。
その感覚は、正しいです。
不動産会社として見た「残クレ最大の問題」

問題は仕組みより
売り方にあります。
- メリットだけ強調
- デメリットは小さく
- 月々の数字だけ提示
これは
判断材料が足りません。
【結論】私は残クレ住宅ローンをおすすめしません
結論:私は残クレ住宅ローンをおすすめしません。
理由は3つあります。
- 将来価値を読み切れない
- 人生の変化に弱い
- 家計の自由度を奪う
住宅は
金融商品ではなく、人生の基盤です。

では、どんな買い方が現実的か?
おすすめは、
- 身の丈に合った価格
- 売却しやすい立地
- 無理のない返済
- 中古+リノベという選択
「いい家」より
動ける人生を優先してください。
最後に|残クレを検討しているあなたへ
残クレを
全面否定するつもりはありません。
ただし、
- 仕組みを理解しない
- 月々安いだけで決断
これは絶対に避けてください。
家は
人生最大の買い物です。
不動産の「買い方」で迷ったら
私たちは
売るためではなく、後悔しないための相談を大切にしています。
無理な購入は勧めません。
気になる方は、いつでもご相談ください。