不動産の中古市場
国の政策で中古住宅を活用する優遇措置が取られている今日この頃、しかし、思った以上に中古市場は動いていませんね。
中古住宅の築浅物件は非常に活発に動いていますが、ボロ物件になると、投資目的で購入する以外は、ほとんどの場合、更地にして、新しく新築住宅用地として活用されます。
売却依頼のあった売主さんから良く聞かれることなのですが、「更地にすると、固定資産税が高くなるって聞いたんですが、そのままの状態で売却できませんか?」
この質問、何百回と聞きましたwww
基本的に更地にした方が、土地価値が向上するので、固定資産税も上がるのですが、その逆のケースもあります。
そこで、家を取り壊した方が得か、残した方が得か?少し解説していきます。
家を取り壊した方が得か、残した方が得か?
固定資産税と都市計画税
そもそもですが、樋と建物にかかる税金として固定資産税と都市計画税があります。
固定資産税は家を所有するとどうしてもついてくる税金です。
都市計画税は主に「公園・道路・下水道などの都市計画事業や土地区画整理事業に充てられる」ことを目的に「受益者負担」の概念で徴収する税金です。
- 固定資産税:家を所有すると発生する税金
- 都市計画税:「公園・道路・下水道などの都市計画事業や土地区画整理事業に充てられる」ことを目的に「受益者負担」の概念で徴収する税金
固定資産税の税率は全国一律で1.4%で、都市計画税は市町村が上限で0.3%で決めることができます。
- 固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
- 都市計画税=固定資産税評価額×上限0.3%
この税金は、所有している土地と建物それぞれにかかり、居住している土地・建物だけでなく賃貸アパートや貸し駐車場、空き地にもかかってきます。
また、上記の固定資産税評価額とは、役市町村の自治体担当者が一つずつ確認して「固定資産税評価基準」に基づいて決めています。
目安ですが、土地時価の約70%、建物なら新築時で、請負工事額の50~60%で築年数を重ねると評価額は下がってきます。
家が建っていれば土地の税金は安くなる?
結論から言うと、「建物割合が比較的多いと、更地にした方が税金は安くなる場合が多い」。
少し濁した言い方かもしれませんが、税金支払いが安くなる特例措置などがあり、一概に言えないのです。
例えば、
小規模住宅用地:住戸1戸につき200㎡までなら
- 固定資産税の課税標準×「1/6」←これがいわゆる6倍のカラクリ
- 都市計画税の課税標準×「1/3」
一般住宅用地:住戸1戸につき200㎡を超えた部分は
- 固定資産税の課税標準×「1/3」
- 都市計画税の課税標準×「2/3」
上記の特例にはめてみると、
例)
土地180㎡:固定資産税評価額2,000万円
家:固定資産税評価額500万円
【土地にかかる固定資産税と都市計画税の金額】
- 2,000万円×1/6×1.4%+2,000万円×1/3×0.3%=6.66万円
【家にかかる固定資産税と都市計画税の金額】
- 500万円×1.4%+500万円×0.3%=8.5万円
よって合計15.6万円にになります
この内容を頭に入れたうえで、
2つのケースを紹介します。
A)
土地180㎡:固定資産税評価額800万円
家:木造築30年 固定資産税評価額250万円
①家を維持する場合
【土地にかかる固定資産税と都市計画税の金額】
- 800万円×1/6×1.4%+800万円×1/3×0.3%=2.65万円
【家にかかる固定資産税と都市計画税の金額】
- 250万円×1.4%+250万円×0.3%=4.25万円
よって合計6.9万円
②更地にした場合
【土地にかかる固定資産税と都市計画税の金額】
- 800万円×0.7×1.4%+800万円×0.7×0.3%=9.52万円
B)
土地180㎡:固定資産税評価額1,200万円
家:RC10年 固定資産税評価額1,000万円
①家を維持する場合
【土地にかかる固定資産税と都市計画税の金額】
- 1,200万円×1/6×1.4%+1,200万円×1/3×0.3%=4万円
【家にかかる固定資産税と都市計画税の金額】
- 1,000万円×1.4%+1,000万円×0.3%=17万円
よって合計21万円
②更地にした場合
【土地にかかる固定資産税と都市計画税の金額】
- 1,200万円×0.7×1.4%+1,200万円×0.7×0.3%=14.28万円
Aでは、更地にしたほうが高くなっています。
6.9万円 < 9.52万円
Bでは、更地にしたほうが安くなっています。
21.0万円 > 14.28万円
最後に
家を解体するかどうかはご家族とよく話し合い、税務署・税理士に確認することをお勧めします。
また200㎡を超えてくると、複雑な計算になりますので、必ず税務署・税理士などにご確認をお願いします。