今日は判例ついての記事です。
「賃貸物件の売買にあたり、賃借人が設置した看板の撤去請求が権利濫用として否定された」
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所有者が変わっても、設置した看板等は引き続き使用ができる。という、内容です。
詳細内容について
建物1Fを建物賃貸借契約をしていたAさん。(事業用店舗として契約)
看板設置についても旧所有者はOKしていた。(費用は賃借人負担)
その後、店舗としての賃貸物件は売買され、立ち退き請求と看板撤去請求がありました。
原審では立ち退き請求は棄却されたが、看板撤去請求は認められました。
その後、賃借人は上告し、看板撤去請求も棄却された。
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という内容になります。
争点はどこにあったのか?
今回の争点は
売買時に
- ①【賃借権の負担等が買主に継承されること、建物には看板等がある】ということがしっかりと売買契約書に明記してあったか
- ②【賃貸物件とは離れているところにある設備(看板や駐車場、駐輪場)】だったのか
ということがあげられます。
賃貸借関係の存続は、民法改正で明文化
現行民法にはそのような記載がなく、もし、売買契約書に【継承】という内容が記載されていなかったら、上告は棄却されていたかもしれません。
しかし、これは裁判所でも判断が分かれる事案です。
どちらにせよ、新賃貸人か賃借人がのどちらかが被害を被ることになります。
私だったらどういう対応をとるか?
私の場合、賃貸物件の売買を行う際には、特約事項に20を超える文言をびっしり記入し、重要事項説明の際には、こと細かく説明します。当たり前だと思っていることも、一般論では通じないことも多々ありますので、定型文として記載することを心がけています。
後に旧賃貸人、新賃貸人、賃借人、宅地建物取引士、その他関係者がトラブルにならないために、しっかり知識をもって説明しましょう。